建設業界の「2024年問題」について

昨今、働き方改革や社会情勢の影響を受けて、「20○○年問題」というワードがいたるところで目にするのではないでしょうか。例えば、物流・運送業界においては、働き方改革法案によるドライバーの労働時間に上限が課されることで生じる課題を総称して「2024年問題」と言われています。

 

 

■そして、建設業界においても「2024年問題」があります。

国土交通省が発表する「最近の建設業を巡る状況について【報告】」によりますと、次の問題が顕在化しています。

建設業就業者の減少 658万人(H9)⇒482万人(R3)
建設業就業者の高齢化の進行 55歳以上:5%、29歳以下:12.0%(R3)

特に60歳以上の建設業就業者数は、全体の4分の1(25.7%)で、10年後にはその大半が引退すると見込まれています。その中で、少子高齢化や過酷な労働環境の影響により、29歳以下の割合は約12%であり、若年入職者の確保や育成(人材確保と技術継承)が喫緊の課題となっています。

 

 

 

このような課題を解決すべく、国を挙げて次のような取り組みを推進しています。

イ.働き方改革の推進(長時間労働等の改善)
ロ.担い手の処遇改善(賃金)
ハ.生産性向上(ICT等の導入)

特に、建設業においては、働き方改革関連法が2024年4月より適用となり、建設業界が解決しなければならない労働環境問題を総称して「2024年問題」と言われています。

 

 

それでは、建設業界の2024年問題の具体内容はどのようなものでしょうか。

 

イ.働き方改革の推進(長時間労働等の改善)

(1)働き方改革における時間外労働規制の見直し
建設業は、2024年4月から改正労働基準法が適用されます。
特別条項での時間外労働の上限が720時間の範囲内で、
一時的に業務量が増加する場合にも上回ることのできない次の上限が設定されます。
A.2~6か月の平均でいずれも80時間以内(休日労働含む)
B.単月100時間未満(休日労働含む)
C.原則(45時間)を上回る月は年6回を上限

上記の上限規制を超過した場合、労働基準法違反として罰則が科されることになります。

(2)適切な工期の設定

週休2日の確保

(3)工期設定の更なる適正化(2023年度より)

工期設定で猛暑日や地域の実情に応じた作業制限や制約を考慮する

 

ロ.担い手の処遇改善

(1)賃金上昇を実現する環境整備

・安定的・持続的な公共投資の確保

・適正な予定価格の設定

・ダンピング対策の更なる徹底

(2)建設キャリアアップシステム(CCUS)の導入・推進

「建設キャリアアップシステム」は、技能者の資格や現場での就業履歴等を登録・蓄積し、技能や経験が客観的に評価され、技能者の適切な処遇につなげる仕組みであり、次のことが期待されます。

・若い世代がキャリアパスの見通しを持てる

・技能や経験に応じて処遇を改善する

・技能者を雇用し育成する企業が伸びていける業界を目指す。

このシステムに基づいて、技能レベルを反映した手当支給の促進を図るなど、国と業界団体が連携して普及を推進しています。

 

ハ.生産性向上(ICT等の導入)

現場管理や勤怠管理、事務処理等においてICTを導入することにより、効率的な業務体制を構築し、生産性の向上を目指すものです。

 

 

以上の内容を踏まえて、各社にて対策、対応を進めているところであります。

 

JSにおいても、働き方改革の推進をはじめ、より良い労働環境の構築を図っております。例えば、リノチョイス製品の販売に関しては、ご購入業者様のご理解をいただき、従前のFAXによる注文からWEB注文へと全面的に切り替えました。ご購入業者様にとっても納品日などの情報がリアルタイムで知ることができるとして、ご好評をいただいております。

 

 

このように、自社だけではなくお取引先の皆様にとっても効率性が良く、喜ばれるサービスを提供できるよう努めるとともに、2024年問題で生じる課題を一つずつ解決し、より良い労働環境づくりを進めてまいります。