

【建設業界の今後の見通し】
建築資材高騰はいつまで続く?
さて、今回のコラムは令和3年から始まった建築資材の高騰についてです。その要因及び令和7年以降も価格高騰が続くのか、業界動向について振り返るとともに、今後について考察してみたいと思います。
1.建築資材高騰の背景
建築資材の価格は、平成30年から緩やかな上昇が続いていましたが、令和3年以降急激な上昇に転じました。
資料出所:日本銀行「企業物価指数」
特に製材・木材・鉄鋼の価格上昇が著しく、これは原材料の世界的な不足によるものです。以下の要因が考えられます。
(1)ウッドショック
過去のコラムでも触れたとおり、ウッドショックにより世界的に輸入木材の価格が高騰しました。米国・中国を中心に世界中でコロナ禍により停滞していた住宅建設需要が高まり、この影響を受けて木材の価格が高騰しました。
(2)アイアンショック
木材と合わせて、鉄の輸入価格も上昇しました。アイアンショックとは、鉄鉱石価格の上昇により、鉄骨や鉄筋等の鋼材価格が高騰することです。こちらも、米国・中国を中心とした住宅需要増加が原因となっています。日本は鉱物資源の多くを輸入に依存しているため、価格の高騰から逃れるのは難しいです。
(3)ウクライナ危機
木材や鋼材の価格が高騰する中、ロシアによるウクライナ侵攻がありました。侵攻開始から3年経ちましたが、未だ終息の気配は見えません。欧米諸国による経済制裁への報復として、ロシアは非友好国への木材、鋼材等の輸出規制を行いました。各国がロシア以外の国から資源を輸入すると、世界中の資源価格は高騰します。そのため、価格の高い状態で購入しなけれればならないのです。
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(4)止まらない円安
日米の金利差の拡大も大きな原因です。令和4年以降円安が加速し続けています。令和6年8月の日銀による為替介入及びゼロ金利解除によって、一時的に円高に振れましたが、令和7年3月現在も1ドル=150円前後で円安・ドル高が進行しております。円安になると、これまでよりも仕入価格が高くなります。前述のとおり、日本の建築資材の輸入依存率は高いため、円安の影響も大きなものとなっています。
2.価格高騰はいつまで続くのか
社会情勢や各国の経済政策等、多くの要因が絡んでいるため、いつまで続くかの予想は難しい状況です。今後も世界的にインフレが続く可能性も十分に考えられます。マーケットの安定に向け、長期的な視点での需給バランスの調整に期待したいところです。合わせて、トランプ米大統領の政策にも注視する必要があります。大きなポイントとしては、「ウクライナ危機の終結」が挙げられるかと思います。戦争終結に向けた落としどころは未知数ですが、剛腕を発揮してディールを成立させることで、インフレの緩和につながることを期待します。「ドル安への誘導」にも注目したいところです。日銀の追加利上げの動向を含め、今後の日米両国の金融政策にも注目です。
3.リノチョイスでの取り組み
過去のコラムでもご紹介しましたが、弊社では「窓」に関する商品(アルミサッシ下框取替・アルミサッシ対応汎用クレセント)、「バルコニー」に関する商品(GRAF工法)等、サッシの全面改修を行わなくとも、部分補修によりその機能を回復させられる技術開発商品を多数取りそろえています。物価高著しい昨今だからこそ、ローコストで暮らしの質を向上させられる商品をご紹介していきたいと考えています。
今後もお取引先の皆様とともに、暮らしの「安全・安心・快適」につながるサービスをご提供できるように努めてまいります。令和7年も、リノチョイスを何卒宜しくお願い致します。